産後うつに鍼灸ができること 〜心と体の両方からやさしくケア〜

赤ちゃんが生まれるという人生の大きな出来事のあと、なぜか気持ちが沈んでしまったり、涙が止まらなくなったり。
「自分は母親としてダメなんじゃないか」と自分を責めてしまったり。

それは決して“弱いから”ではありません。
「産後うつ」は、ホルモンや体の変化、環境の変化によって誰にでも起こり得るものです。

そして実は、鍼灸はそんな産後うつのケアとして、やさしく、でもしっかりとサポートできる方法のひとつなんです。

産後うつってどうして起こるの？

出産後、女性の体には大きな変化が訪れます。特に、**女性ホルモン（エストロゲンやプロゲステロン）**が急激に減少することは、心のバランスにも大きく影響します。

さらに、慣れない育児・寝不足・体の痛み・社会とのつながりの変化など、いくつものストレスが重なることで、心と体のバランスを崩しやすくなるのです。

鍼灸が産後うつにアプローチできる理由

① 自律神経を整え、深いリラックスへ導く

鍼灸は、心身のバランスを整える「自律神経」にやさしく働きかけます。
ツボに刺激を与えることで、興奮状態に傾いた交感神経から、リラックスをつかさどる副交感神経へと切り替わりやすくなります。

➡️ それによって「よく眠れるようになった」「気持ちが落ち着くようになった」と感じる方も多いです。

② ホルモンバランスの乱れを内側から整える

東洋医学では、出産後の女性は「血（けつ）」を大きく消耗していると考えます。
「血」が不足すると、情緒が不安定になったり、疲れやすくなったりと、心の症状にも影響が出やすくなります。

➡️ 当院では肝臓や腸の働きを整えることで、ホルモンの変化による不調をやわらげていきます。

③ 「治療の時間」が心の休息になる

鍼灸の治療時間は、横になってゆったりと自分をいたわる時間です。
治療の中で、ちょっとした会話や、日々のしんどさを言葉にするだけでも、気持ちが軽くなることがあります。

➡️ 特に産後は、「自分のための時間」を取るのが難しい時期だからこそ、鍼灸が“心の避難所”のような役割を果たすこともあります。

鍼灸は「薬に頼らない選択肢」のひとつ

授乳中などで「できれば薬は使いたくない」と思っている方にとって、鍼灸は副作用が少なく、体への負担が少ない施術方法です。

さいごに：ママが笑顔になることが、赤ちゃんにとっていちばんの栄養

産後うつは、決して「甘え」ではありません。
頑張っているからこそ、心も体も疲れてしまう。
そんな時に「少し休んで、自分を整える時間」を持つことは、とても大切なことです。

鍼灸は、肌に触れ、心に寄り添い、内側から回復をうながす力も併せ持っています。
もし不調を感じているなら、一人で抱え込まず、ぜひご相談ください。